進路選びに有用なツールは?大学選び・専門学校選びで重視されるポイントは?
最近の受験生は志望校に関する情報収集においてどのような情報を有用と考えているのでしょうか?
そして大学・専門学校選びを行う際に重視しているポイントは?
本稿では、弊社が首都圏公立高校の高3担任団を中心とする教員たちを対象に行った生徒の進路選択に関するアンケートの回答結果をもとに、これらについて考察していきます。
SINRO!編集長 河村卓朗
弊社(進路企画)では、毎年1学期を中心に首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉の4都県)の数十校の高校で大学・専門学校進学に関する教員対象研修会を実施しています。本稿で紹介するアンケートは、今年の研修会に参加した各校教員の方々にご回答をいただいた結果をまとめた内容となります。
アンケート回答数は468。参加者のほとんどが公立校の高3担任の先生方というリアルな高校現場の声を反映した内容かと思います。この場を借りて改めてアンケートにご協力をいただいた36校の先生方に御礼を申し上げます。それではさっそく結果をみていきましょう。
結果は下表の通り、4都県の合計、東京・神奈川、千葉・埼玉に分けて算出しました。まず、「生徒の進路選びに有用と思われる情報源」の、「オープンキャンパス(以下、OC)」が約80%、「上級学校(大学・専門学校)のウェブサイト」が約60%とどの地区でも大きく回答を得ている点に注目したいと思います。上級学校の視点に立つと、OCに来校した高校生に対し、いかに満足度の高いイベントや情報提供を行うかが重要になってくるといえるでしょう。また、ここからは4都県の合計をもとにお伝えします。
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ウェブサイトに次いで「上級学校のパンフレット」も47.4%と3番目に高い数値になっていますが、更新スピードが速いウェブと網羅性が高い紙のパンフレットを上手に併用する情報収集がベストです。
次に高かったのが「高校内での進路ガイダンス(40.4%)」。これについては高校の先生方とお話していると「生徒にとってOC前に上級学校の話が聞ける貴重な機会。特に志望動機がまだ弱い生徒たちが上級学校の話を聞くことで進路への意識を高められる」というコメントも複数いただきました。
その他の項目では「先輩や級友のアドバイス(19.9%)」、「保護者のアドバイス(14.7%)」、「SNS(8.8%)」などの結果が目を引きました。次に、「生徒が大学選びで重視すると思われる点」についてみていきましょう。
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数値が高い順にみていくと「やりたい勉強ができる(65.0%)」がトップでしたが、注目したいのは「知名度(54.7%)」と「社会的評価・イメージ(43.8%)」です。ともに2番目と4番目という高い回答率です。
さらに「都心にある(31.2%)」と併せて考えると、好立地な大規模有名校は有利といえそうです。
他には「家からの近さ(38.7%)」も高い数値となりました。これを読み解くと、「近所の大学でも社会的評価の良い大学であれば進学する」ということでしょう。
不景気な時はニーズが高まるといわれている「就職に有利(46.4%)」も3番目の回答率でした。「資格取得(30.8%)」と併せて、大学には就職の良さと資格取得サポートを希望する声も高いことが読み取れます。
他にはコロナ禍の影響が薄れてきた「留学制度・国際交流」も18.6%と一定の数値となりました。
次に「生徒に専門学校を勧める際に重視する点」もみていきましょう。
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特定の分野でプロ(専門家)になることを目指す専門学校では、「国家試験の合格率(64.5%)」が断トツで高い回答率となりました。次にほぼ同率で「就職先情報の公開度(54.5%)」と「カリキュラムの詳細(54.3%)」が並びます。
これら同率の2点については弊社も専門学校選びに関する進路講演で常に強調するポイントです。他には「中退率(25.6%)」も関心度が高い項目であることが読み取れます。大学の偏差値のような明確な判断指標がない専門学校を選ぶ際には、このアンケートで回答率が多かった項目をぜひ参考にしていただきたいと思います。
アンケートの回答結果と解説は以上となります。読者の先生方の肌感覚と比べていかがでしたでしょうか?私たち進路企画は、これからも高校現場の声を集めてまいりたいと思います。