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私立大学一般選抜の出願戦略とは

  • 大学・短期大学進学 2021年 01月29日

2月初旬から始まる私立大学の一般選抜を考える際に必要な出願戦略について、今回はまとめてお伝えします。

(進路総合研究所長 新沼正太)
 

出願の戦略はなぜ必要?

 受験は短期決戦であり心理状況や入試日程のバッティングなど複数の要因により勝敗確率が変わります。これらを意識し客観的な戦略を加えることでより有利にこの戦いを進め、志望校合格の可能性を高めることができます。本稿では私立大学一般選抜の内容、出願校決定に際してのポイントなどを解説していきます。

私立大学入試にはどんな方法がある?

 一般選抜の中には様々な方式が存在します。代表的な方式とその特徴を簡単に紹介します。

 大学入学共通テスト利用方式 
 共通テストを利用して合否判定する方法。共通テストのみと共通テスト+個別試験の2種があり、受験料が安いことや入試日程のバッティングの考慮が不要なことがメリットです。
 全学部統一入試 
 複数学部が同一問題を使用し、個別試験とは別に同日日程にて行う入試。志望する同一学部を複数回受験出来ることや日程バッティング回避に使用できるメリットが有ります。
 英語外部検定利用方式 
 英語外部検定試験を試験項目に取り入れている方式。「出願条件」「加点」「得点換算」などの方法により採用されており、事前に取得した検定結果を活用できます。
 その他 
 「特別奨学生入試」「地方入試」「試験日自由選択制」「後期・2次募集」などの入試制度があり、複数の受験が可能となりますので、活用できる場合は大いに活用することをお勧めします。

出願戦略のポイント 

 自分自身と受験校の特徴を理解することが戦略を考えるうえで重要な要素となります。自分を冷静に分析することで出願戦略のポイントを理解しましょう。

 自己分析のポイント 
模擬試験等の成績を客観的に分析することが大切です。
自分の成績が上昇傾向なのか停滞・下降気味なのかを冷静に分析してください。上昇傾向であれば強気な出願を考え、停滞・下降気味なのであれば挽回を意識しつつ、出願戦略的には安全策を取ると良いでしょう。
また特徴の分析も重要です。「特定の科目」「出題分野」「出題形式」にそれぞれ偏りがある場合もそれを意識した出願をしましょう。傾斜配点を課す、分野を限定、記述とマーク併用など出題形式が異なる大学などがあり、単に偏差値だけでは測れない部分もあります。自分の特徴にあった大学を出願校に加えてみましょう。
自分の性格も戦略に反映させたいところです。プレッシャーに強いタイプは良いですが弱いという自覚がある人は、早い日程の安全校を受験し本命の前に合格を勝ち取ることでリラックスして本命に臨めるようにしましょう。

 出願校決定に対するポイント 
どの部分を「こだわるか」が決まっていないと本来の目的からずれてしまうことがあります。こだわるポイントとして以下のようなものが挙げられます。

①大学と学部についてのコンセプト
特定の専門職を志望しているかにより状況は異なります。特定の専門職を志している場合は、「学部そのもの」にこだわらないとそもそも資格取得できない等の問題がありますので学部にこだわります。
一般の就職等を考えている場合は、学部にある程度こだわりつつ「大学」にこだわることをお勧めします。大学のレベル=基礎力のレベルであると認識している企業が存在しているからであり、認知度の高い大学への進学が有利に働くこともあるからです。

②進学そのもののコンセプト
合格を勝ち取ったときに進学するかの判断基準も事前に欲しいものです。どのラインまでの大学なら進学するか、合格すればどこでも進学するかなどにより、出願校が変わってきます。後悔しないように自分の進学コンセプトを決めておきましょう。

③数を打つという戦略
五分五分であれば数を打つほど合格する可能性が高まります。「難しい大学だがたまたま自分の好きな単元が多く出題された」や「多く受けた中で難しい学科に合格したが、易しい学科は不合格になった」などの話もよくあります。戦略の一つとして組み込んでみてください。

④後悔しないためのチャレンジ
受験校数に日程的、経済的な限界がある中で、一定の合格の可能性がある大学を削って望みの薄い大学を受験することは勧められません。しかし、一定の合格の可能性があると言えるレベルにおいて更なる上位校を加えることも検討してください。最後に学力が伸びる可能性もあるので後悔しない出願をしてください。

具体的な出願戦略

 一般論として大学の難易度は、「知名度」「立地条件」「学費」「資格取得の有無」によって構成されます。これらをうまく利用することで合格確率を上げることができますので簡単にまとめます。

 GMARCH  大学名=難易度と考えがちですが、大学名だけでなく学部学科を比較すると一般の難易度認識と逆転していることもあり、ねらい目となることもあります。また日程が、難関校やその大学の看板学部と重なっている場合は、より上位の大学を狙う受験生と被らない日程を狙うことで確率を上げることも戦略の一つとなります。さらに、複数の入試方式を活用することで合格確率を上げる戦略も取ってみてください。

 中堅大学  GMARCH や日東駒専との日程バッティングを意識してスケジュールを検討しましょう。その中で「複数日程」「入試方式」「共通テスト」を生かした出願により、自分に合った入試方式や配点に出会う可能性もありますし、複数回受験することで自分の好きな単元が多く出題されるなど有利に働く可能性があります。今年度は安定志向から学校推薦型選抜(指定校)の出願が増加しており、併願先として一般選抜の難化も予想されます。上記の複数条件と自分の特徴を合わせて偏差値による比較だけでない出願を検討してください。

 狙ってみたい国公立大学  国公立大学の中には変則的な配点を課す大学があり、私立大学志望者でも狙ってみたい大学があります。一部になりますがそんな大学を紹介します。

●高崎経済大学(地域政策学部)

 共通テストは英語のみ必修で他から2教科、個別試験は数学or地歴の選択で+小論文という配点のため、理系でも文系でも3教科で受験できる。

●北見工業大学(工学部)

 共通テストは5教科7科目であるが、個別試験が課されない(試験会場に行かなくてよい)配点であり、共通テストの目標も得点率50%前後と低いので、共通テストの主要科目得点だけで合格圏内に行く可能性がある。

 その他、1教科が全体配点の50%を超えるような大学は複数有ります。最初からあきらめずに探してみると良いでしょう。

最後に

ここまで、大学入試についての一般的な戦略について解説を述べてきました。ゴールである、合格確率を上げるためにどの方法が自分に向いているか? を考えるきっかけとしてもらえれば幸いです。最後に、これらの戦略以上に受験を勝ち抜くために大切な2つのメッセージをお伝えすることで本稿の結びとさせていただきます。

①最後まであきらめない。

②自分を信じる。

 皆様の志望校合格をお祈りしています。

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