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SINRO!編集部による、私大入試解説!

おさえておきたい、一般選抜で役立つキーワード

  • 大学・短期大学進学 2023年 01月11日

1月を迎え、今週末にはいよいよ大学入学共通テストが実施されます。2月に入れば私大一般選抜が本格化します。

本稿では、受験生をサポートする教員・保護者の皆さまに向けて、これからの私大一般選抜受験でおさえておきたいキーワードを解説いたします。

河村卓朗(SINRO!編集長)

大学入学共通テストは色々な使い道がある?
私大の約9割が一般選抜で導入

 2023年1月14日・15日に大学入学共通テスト(以下、共通テスト)が実施され、2月に入れば一般選抜が本格化します。

 

※2024年1月更新:2024年の2月後半~3月にかけて出願できる首都圏私大・短大の入試情報を公開しました。
詳細な内容は、こちらからschoollist202401banner3.png

 

 この共通テストの成績で合否判定を行う、「共通テスト利用方式」を一般選抜で導入する私立大学は530校を超え、全体の約9割に達しています。私大受験に関して、共通テストを受験しておくと、複数の大学に出願が可能となる点と出願のみで試験会場に出向かなくてよい点がメリットです。

 一方で難関私大の中には共通テストの成績+独自試験を課す入試、いわゆる「共通テスト併用型」を行う大学もあります。首都圏の難関校では早稲田大学上智大学青山学院大学などが実施しています。

 併用型の実例として、早稲田大学政治経済学部が2021年度入試から一般選抜に導入したいわゆる、「数学必須入試」が特に有名です。共通テスト(100点)と独自試験(100点)の併用型入試で「大学入学共通テスト」の「数学Ⅰ・数学A」を必須としています。

 このように、受験生に学部の学びと関連する教科をしっかり勉強してくることを求める流れは数学だけではありません。英語では更にこの傾向が顕著です。

 

東京の私大の50%以上が導入済の
英語外部試験利用入試とは?

 英語外部試験利用入試という言葉を聞いたことがある方は多い事でしょう。改めて説明すると、大学独自の英語の試験は課さずに、大学が指定する民間団体の英語検定のスコアや成績証明書で合否判定や、得点化をしてくれる制度です。

 英検が最も導入率が高く、他にもTOEFLやケンブリッジ英検、IELTS、GTEC、TEAPなどがあります。

 年々、英語外部試験利用入試を導入する私大が増えており、2022年度入試では東京では60校の私大が導入し、利用率は50%を超えました。取得した英語外部試験のスコアや成績は、出願時期から2年前までのものを有効とする大学が大半なので高校在学中に何度もチャレンジできる点が大きなポイントです。

  • ※豊島継男事務所調べ

 余談になりますが、難関私大の国際系学部や文系学部は、ほぼ間違いなく英語外部試験利用入試を導入しています。中には指定する英語外部試験の成績やスコアを取得していないと出願すらできないケースもあるため、これらの大学を受験する人にとって英語外部試験のスコア取得は必須といってよいでしょう。

 また、推薦入試でも英語外部試験の成績・スコアを所持する受験生は「継続した勉強・努力ができる人物」とみなされ評価されるなど、メリットが多いです。

 

私大の共通テスト利用方式は多教科型がねらい目?

 ここで再び共通テスト利用方式に話を戻します。私大における共通テスト利用方式は3教科型が主流ですが注目したいのは4教科以上を課す多教科型です。特に中堅または小規模校が実施するものは志願者数が少なく倍率が低いことがあるので要チェックです。

 たとえば、大規模校である東洋大学の2022年度 共通テスト利用入試 前期5教科(均等配点)は、志願者数3629名。合格者数2047名。倍率は約1・7倍。合格最低得点率は学科によっておおよそ58%~68%(65%前後の学科が多い)でした。

 過去の入試データを見てみると、中小規模の私大が実施する4教科以上の共通テスト利用方式では、合格最低得点率が50%前後となるケースもありました。念のために共通テストを多めの教科で受験しておくと、ライバルが少ない多教科入試で思わぬチャンスをつかめるかもしれません。

 

検定料の割引について

 私大の一般選抜の検定料はおよそ3万 5000円で共通テスト利用方式は1万 5000円~1万8000円ほどの費用がかかります。複数の大学で様々な入試方式を受験すると、検定料の出費だけで数10万かかることもあるので検定料の割引制度を有効活用したいところです。

 多いのは、1回分の検定料で複数回受験ができる割引制度や、2回目以降の検定料を割り引くなどの方式です。賢く使えば検定料を抑えることができるので、志望校の入試要項をチェックしましょう。大手大学では日本大学のN全学統一方式などが有名です。

 昨年は、コロナ禍の受験生を支援すべく、共通テスト利用方式の検定料を無料とした千葉工業大学麗澤大学の取り組みが注目されました。結果的にこの両校の志願者数は大きく伸びたので今後、導入を検討する大学が増えるかもしれません。

 

ライバルが少ない後期試験がひそかなねらい目に?

 また、昨年も触れましたが、2月後半から3月にかけて実施される私大一般選抜の後期試験が今年もねらい目となりそうです。

 理由は、少子化+年内入試利用者増(特に中堅レベルの受験生)+一般選抜で多くの私大が合格者数を増やしたことなどが重なり、後期試験の時期まで残る受験生がこの2年で一気に激減してきたからです。後期試験の倍率が1倍台の大学もザラにあります。

 注目したいのは小規模な地元私大です。この層は年内の推薦入試を選ぶ受験生が多いためライバルが少なく、特にねらい目となる可能性があります。年内の総合型選抜などで、このような大学を不合格になった方は一般選抜の後期まで粘ってチャレンジも1案です。

 また、総合型選抜を3月まで実施している大学も意外とありますのでこちらもおススメです。

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 SINRO!編集部では1月以降も公式Webサイトにて私大入試情報を定期的にリリースする予定ですので、時期がきたらぜひご覧ください。

 

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