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【神奈川大学】化粧品、食品…身近なテーマで研究 化学生命学部の「未来図」

社会課題を解決に導く「化学」と「バイオ」が融合する新たな研究領域とは?

  • 大学・短期大学進学 2023年 07月31日

2023年4月に行われた神奈川大学理工系学部改組の目玉のひとつが、旧・工学部物質生命化学科を母体とする化学生命学部の新設だ。

神奈川大学発の化粧品開発や産業界の実力派企業とのネットワークなど、神奈川大学の強みを最大限に活かし、現代社会が直面する地球規模の課題に挑む化学生命学部の学びについて、学部長の岡本専太郎教授に話を伺った。

聞き手・構成 河村卓朗(SINRO!編集長)

化粧品、機能性食品など
女子の注目を集めるテーマ

―今年から化学生命学部がスタートしました。横浜キャンパスの雰囲気はいかがですか?

 コロナ禍も落ち着き、対面授業が基本になったこともあり、キャンパスに活気を感じます。化学生命学部に関しては、推薦・一般選抜合わせて多くの受験生が集まり、定員190名のところ、定員以上の入学者を受け入れることができました。

 なかでも女子学生比率の高さが際立ちます。学部全体の約4割が女子学生です。これは化粧品開発の分野などで成果を上げてきた本学の研究実績によるところが大きいと思います。また、理工系学部ながら、「数学なし」で受験できる一般選抜の方式を導入した影響もあると思います。

 いずれにせよ、非常に元気で前向きな学生が多く、目がキラキラしているのが印象的です。これから彼らがどう成長していくか楽しみです。

 

―改めて、化学生命学部の特色についてお聞かせください。

 本学部は、近年ますます融合領域が増えている「化学」と「生物学」に関わるテーマを学べる学部です。化粧品、洗剤、機能性食品、衛生用品、医薬品など、日常生活でよく使われるものについて学べる点が魅力のひとつだと思います。

 化学・生物学を融合的に学び、その知識を活かして、社会にどのように貢献できるかを一緒に考えていきます。

 学びと社会の接点を知ってもらうため、「キャリア教育」にも力を入れています。例えば、1年次に学部共通科目の「化学生命学概論」を履修し、2年次前期に「化学生命SDGs論」、後期に「化学生命キャリアデザイン」という科目を設置し、将来をイメージした上で3・4年次の専門研究に取り組む流れをつくっています。

 最初は、化学が好き、生物に興味がある程度の感覚で入学してきていい。そこから、一緒にキャリアデザインやSDGsについて考え、将来を絞り込んでいけばいいのです。学生たちに多くの選択肢を提示し、より適した方向に導くのが大学側の役割だと思っています。

 

「数学なし」受験で文系の
受験生にも門戸を開く

―化学生命学部2学科の違いについてもお聞かせください。

 まず「応用化学科」は、エネルギー化学、触媒化学、セラミックス・高分子など材料化学を本格的に学ぶことができます。

 一方、「生命機能学科」はバイオテクノロジーや、化粧品や食品系などより生活に近い化学・生物学を学びたい人に向いています。

 1・2年次まで学科のカリキュラムで学び、3年次から「応用化学コース」「環境生活科学コース」「生命機能学コース」の3コースの中から選択します。そして、各コースでその分野の専門性を高めていき、将来を見据えた知識や技術を修得します(下図参照)。

 本学では、特許技術によって人にも環境にもやさしい界面活性剤フリーの化粧品開発などに取り組んできた実績があります。「美容」や「健康」といったキーワードに興味がある受験生に、ぜひ注目いただきたいと思います。

 

神奈川大学化学生命学部の2学科3コース

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―化学生命学部の入試のポイントについてお聞かせください。

 一般選抜3科目型では、「英語」+「数学または国語」+「理科(物理・化学・生物から選択)」から科目が選択できます。冒頭でもお伝えした通り、「数学なし」での受験が可能です。また「数学」の範囲も「数学Ⅲ」をなしにして、文系寄りの受験生に門戸を開いています。

 その他、年内実施の推薦入試もあります。なかでも「AO入試」は、評定平均値の制限がありません。また、「公募制推薦入試」は、他大学との併願も可能です。詳しい出願条件は、大学公式サイトのAO入試情報をご覧ください。

 

大学院に進学して本格的な
研究を続けてほしい

―想定される卒業生の進路についてもお聞かせください。

 本学部の卒業生は、食品メーカー、化学メーカー、医薬品メーカーなど、幅広い分野で活躍しています。いわゆるB to Bの優良企業への就職実績が多いのが特徴で、毎年求人を出してくださる企業も多数あります。

 本学部に関しても母体となる旧・工学部物質生命化学科が築いた企業との信頼関係を引き継ぐことができます。

 なお、大学院に進学して、さらに本格的な研究を続ける学生も多いと思います。

 

―化学生命学部に興味のある高校生にメッセージを。

 理工系学部というと数学・物理学をとことんやる印象が強いと思います。確かに、こうした素養は必要になりますが、入学後に基礎から学ぶこともできます。それよりも「環境」「食料」「感染症対策」「クリーンエネルギー」といった現代社会が直面する課題に関心がある人にぜひ集まってほしいと思います。

 化学は、IT革命を支える半導体の基盤技術を担っています。また生物学は、コロナ禍で誰もが知ることになったPCR検査やmRNAワクチンの基盤となる学問です。今後、地球規模で懸念される食料問題などを解決できるのもこの分野の知見です。

 本学で、化学・生物学を幅広く勉強しながら、産業や経済の仕組みを同時に学び、社会で役立つものづくりの知識・技術を身につけて、社会に羽ばたいてほしいと思います。

 

お話を伺った方
神奈川大学 化学生命学部 学部長
岡本 専太郎 教授

 

⇒『進路の広場』で神奈川大学を見る

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