併願制度や英語外部試験の活用に加え、2種類の「総合型選抜」を新設。受験生の多様なニーズに応える入試制度へ
神奈川大学の入試制度が大きく変わる。
2種類の総合型選抜と一般入試〈全学統一型〉を導入することで、受験機会がより多様となった。
さらに併願割引制度や英語外部試験の活用など、受験生に寄り添った改革が進められている。
この新入試のポイントについて入試センターの駒走昭二所長にお話を伺った。
聞き手・構成 河村卓朗(SINRO!編集長)
神奈川大学は、2028年の創立100周年に向けて、さまざまな改革を進めてきました。2021年にグローバル人材を育成する3学部を擁したみなとみらいキャンパスが誕生。2023年には理学部が横浜キャンパスへ移転し、それに伴い理工系学部の再編も行いました。2026年4月には、経済学部に「経済データ分析学科」を新設予定です。
このように、教育内容や教育環境の整備に取り組んできました。そして今年度、いよいよ入試制度の改革に踏み出します。
これまでは、「こういう資質・能力を備えた学生に来てほしい」との思いを込めて、学部学科ごとに出願資格を設けていました。一方で、その複雑さが受験生にとってわかりづらく、負担をかけ、心理的なハードルとなっていた側面もありました。
そこで、より多くの受験生にチャレンジしやすい入試制度とするため、改革を推進することにしました。
年内入試では「公募制推薦入試」を一部残しつつ、新たに2種類の「総合型選抜」を導入します。
ひとつ目は10月実施の〈総合評価型〉。出願資格は評定平均値のみで、書類審査と筆記試験、面接で合否を判定します。筆記試験は文系が小論文、理系が数学か理科の基本的問題となります(一部学科除く)。
ふたつ目は、11月実施の〈適性検査型〉。面接はなく、適性検査と評定平均値を合算したもの+書類審査で選考を行います。適性検査は、国語・英語もしくは数学・英語の基本的問題で、年明けの一般選抜よりも少ない科目数で受験できるのが魅力。複数学科の併願も可能です。
また、本学の〈適性検査型〉では、評定平均値を「学習習慣による成果」と位置づけて重視します。高校の偏差値に関係なく、学習習慣が身についている学生は大学でも勉学に励み、大学入学後に伸びる傾向がみられます。
年内入試だけではなく、年明けの一般選抜の選択肢もさらに充実します。
特に注目していただきたいのが、新設する〈全学統一型〉です。全国22会場で受験することができ、同一試験日で複数学科の併願が可能になります。地方の受験生も自宅近くの会場で、1日に複数学科を効率的に受験できることは、大きな魅力になると期待しています。
他にも、得意な科目を活かせる「得意科目型」、総合力を活かせる「3科目型」、大学入学共通テスト+本学独自試験(1科目か2科目)で組み合わせる「共通テスト併用型」など、多様な方式を用意しています。受験生が、自分に合った方法をセレクトできることが特徴です。
昨今の物価上昇により、経済事情に悩むご家庭も少なくないと思います。この状況に鑑み、経済的負担の軽減策として「2併願目無料制度」を導入します。
これは同一試験日内での2併願目が無料となる制度で、「総合型選抜〈適性検査型〉」「一般入試〈全学統一型〉」「大学入学共通テスト利用入試」が対象です。どの学科を受験しようか迷う場合でも、2併願目を無料とすることにより、気軽に複数学科にチャレンジできればと考えています。
さらに、1933年から続く伝統の「給費生試験」では、4年間の最大給付額を従来の880万円から920万円に引き上げました(継続審査あり)。
また、英語外部試験が利用可能になったことで、受験生の心理的負担が軽減されることも期待しています。
「総合型選抜〈適性検査型〉」、「給費生試験」、「一般入試(前期・後期)」で利用可能で、英語外部試験のスコアを利用する場合でも、大学独自試験の「英語」は受験可能。その場合は得点の高い方を採用することで、より高得点を目指すことができます。
2025年3月末のオープンキャンパスから本改革の情報を公表し、多くの受験生や保護者の皆さま、高校の先生方から好評をいただいています。「受けやすく、わかりやすくなった」入試制度によって、幅広い層の受験生に門戸を開くことが今回の大改革の目的です。多様な学生の学びたい意欲を促し、教育・研究のさらなる発展に務めていきたいと考えています。
神奈川大学 入試センター
駒走 昭二 所長
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