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【東京都市大学】横浜キャンパス3学部が発信する理工系ルーツの「文理融合」

400社実就職率や大学院進学率の高さにも表れる理工系教育の蓄積の強みとは?

  • 大学・短期大学進学 2025年 11月26日

横浜市の港北ニュータウンにある東京都市大学横浜キャンパス。ここには、環境学部、メディア情報学部、デザイン・データ科学部という3つの「文理融合型学部」がある。

文系・理系の枠を超えた新たな学びを展開するこれらの学部は、就職率や大学院進学率ともに高い水準で、企業からも大きな注目を集めている。

編集部取材班が、横浜キャンパス3学部の魅力を取材した。

聞き手・構成 河村卓朗(SINRO!編集長)

国際規格「ISO14001」の認証を国内の大学で初めて取得

「東京都市大学=理系の大学」

武蔵工業大学を前身とするため、そんな印象を持っている人も少なくないだろう。それでも、横浜キャンパスを訪れて、現場で提供されている学びを知れば、固定観念は覆されるはずだ。

ここには、環境学部、メディア情報学部、デザイン・データ科学部という3つの文理融合型学部があり、理系的な探究と文系的な思考を自在に行き来する独自の学びが展開されている。

横浜キャンパスができたのは1997年。環境情報学部開設と同時に、横浜市の港北ニュータウンに誕生した。敷地のうち約30%が保存林となっているなど豊かな自然に囲まれたこのキャンパスは、環境を強く意識した設計になっているのが大きな特徴だ。

大学を含む日本の教育機関として初めて国際規格である「ISO14001」の認証を取得したことで知られており、キャンパス内のすべての活動が環境と調和するように配慮されている。環境問題を考えるには、文系・理系という枠を越えたアプローチが必要——。こうした発想が、横浜キャンパスの「文理融合教育」の源流にある。

では、この地で独自の教育・研究を展開する3学部の概要を見ていこう。

東京都市大学 横浜キャンパス3学部

2023年に新設されたデザイン・データ科学部も話題

環境学部は、環境、経営、法律などを横断的に学び、社会の持続可能性を多角的に探究できる人材を育成。環境創生学科、環境経営システム学科の2学科があり、前者は持続可能なまちづくりやインフラ整備をテーマにした授業が多く、後者では環境経営、環境政策などを深く学んでいく。

他大学において、環境系の学部が新設されるが、立教大学や法政大学などの関連学科は、特に同学の環境経営システム学科とは学びに相関が近いため、文系受験生との相性もよく、企業の環境戦略や公共政策に携わる仕事に就く卒業生が多い。

メディア情報学部は、コンピュータとメディアを駆使して「目で見える」「耳で聞こえる」などの情報をどう社会に活かすかを探究している。社会メディア学科、情報システム学科の2学科があり、前者はまさに文理の中間領域といえる社会科学系の科目が多く、後者はより情報系に寄った理系色が強い教育・研究を展開している。ここで学んだ卒業生の多くは、メディアやIT関連企業など情報通信業界で活躍している。

2023年に横浜キャンパスに仲間入りしたデザイン・データ科学部は、デザイン思考とデータ分析を融合させた次世代の学びを展開している。女子学生の比率が高く、デザインとAI・データサイエンスを融合した教育が注目を集めている。

全学生が研究室に所属する理工系の学びの環境が価値に

3学部に共通する特色は、「理系大学がつくった文理融合型学部」であること。ここが多くの大学で展開されている「文理融合の学び」と大きく異なる点だ。

例えば、文系寄りのメディア情報学部社会メディア学科の学生もプログラミングや統計分析を学ぶ。環境学部環境経営システム学科では、経営学や法律を学びながら本格的なデータ分析にも挑戦。ここでプログラミングやデータ分析など、理工系大学の研究の蓄積が大きな価値になる。

そして、東京都市大学の最大の特徴は、全学生が研究室に所属し、卒業研究を行うこと※。理工系の博士号を持つ教員が多く、指導体制はまさに研究大学そのもの。そのため、文系志望だった学生が入学しても、4年間の学びを通じて理工系の思考力とデータ分析力を養える。

※デザイン・データ科学部は、1つの研究室やゼミに所属し続けるのではなく、多様な各種プロジェクトへの参画を通じて研究活動を進めていきます。

理工系大学が文系の生徒にも門戸を開く——。この挑戦には、東京都市大学の明確な意志があった。高校で文系クラスを選んだからといって、理系進学を選択肢から外す必要はない。数学が少しくらい苦手でも理系の学びをあきらめる必要はない。このメッセージは新たな入試方式にも反映されている。

更なる文系受験者の獲得へ 新たな科目選択制度を導入

これまで横浜キャンパス3学部の一般選抜・前期では、理系科目選択者が多数を占めていた。

例えば、環境学部環境創生学科の2025年度入試では、「理科または地歴」での理科選択が88%、「数学または国語」での数学選択が73%というデータが出ている。つまり、必須教科の「英語」に加え「理科」「数学」の2教科を選択する受験生が大半だった。

ここからも「東京都市大学=理系の大学」という旧来のイメージが透けて見える。

そこで、文系受験生へのメッセージとして、2026年度入試から横浜キャンパス3学部の教科選択を刷新する。対象日は2月3日のみとなるが、必須の「英語」に加え、「理科または国語」「数学または地歴」という新たな組み合わせを導入し、文系受験者も得意科目で受験できる体制を整えるという。

これにより、「英語」「理科」「地歴」など、これまでできなかった3教科選択も可能になる。まさに「文理融合」の玄関となる入試制度だといえるだろう。

ランキング上位の大学と並ぶ「400社実就職率」の実績

理工系大学ならではの「文理融合の学び」の成果は、堅調な就職実績と高い大学院進学率というデータにも表れている。

環境学部、メディア情報学部の2024年度卒業生の就職実績は、下図の通り。日立製作所、キヤノン、日本電気(NEC)、富士通、日本IBMなど大手企業が名を連ねる。

さらに、横浜キャンパス2学部の「400社実就職率(上場企業など有名400社への実就職率)」は16.5%と文理融合型学部としては、非常に高い比率になっている(日本の上位100位の大学における数値は9.9%)。中でもメディア情報学部情報システム学科の400社実就職率は32%で、これはランキング18位の明治大学とほぼ同じ水準だ。

大学院進学率も環境学部環境経営システム学科で13.6%と一般的な文系学部とは一線を画す高水準になっている。これは、早稲田大学人間科学部や慶應義塾大学総合政策学部の大学院進学率と並ぶ数字だ。

研究室でしっかりと知識とスキルを磨き、実社会でも専門性を生かせる教育体制が確立していることがここからもわかるだろう。

環境学部の就職実績(2024年度卒業生実績)
環境創生学科および環境情報学専攻
環境経営システム学科および環境情報学専攻
メディア情報学部の就職実績(2024年度卒業生実績)
社会メディア学科および環境情報学専攻
情報システム学科および環境情報学専攻

※デザイン・データ科学部は2023年4月新設で卒業生がいないため、データはありません

学生の声
文系からメディア情報学部に進学し、通信系大手IT企業の内定を獲得!
高橋 拓史さん
東京都市大学大学院
環境情報学研究科環境情報学専攻
博士前期課程2年
(メディア情報学部 社会メディア学科 卒業)
高橋 拓史さん

「行動的意思決定研究室」で意思決定に関わる事象を研究

東京都市大学メディア情報学部を志望した理由は、文系の私でも理系分野の学びを高いレベルで受けられると考えたためです。本学はもともと理工系の単科大学を母体としていたため、総合大学ながら、一般的な理工系大学と同水準の教育環境が整っている点に魅力を感じました。また、就職実績がよかったのも高校時代の自分にとって大きなポイントでした。有名企業400社実就職率ランキングで上位にランクインするなど、ここなら理想的な自分のキャリアを描けると感じました。

学部卒業後は、大学院環境情報学研究科に進学し、「行動的意思決定研究室」で研究を続けています。テーマは、「独立リーグ野球チームの地域愛着形成効果の環境心理学的検討」。担当の広田すみれ教授の指導のもと、消費者心理学やリスク心理学など、人間の意思決定に関わる事象を社会心理学の立場から学んでいます。

研究室での学びを通じて、情報を集めて処理するという統計の知識を身に付けることができました。また、消費者心理についても学ぶため、マーケティングや営業に結び付くようなスキルを得られたと考えています。

就職活動では情報系の知識とコミュニケーション力をアピール

大学院修了後は、ソフトバンク株式会社への就職が決まっています。通信事業を軸に、AI分野においても国内外でリードしている企業ということで、非常に楽しみです。職種は法人ソリューション営業職を志望しています。

就職活動では、研究や授業で身に付けた分析力と実践力をアピールしました。本学では情報学やデータサイエンスなど専門的な知識を身に付けられるだけでなく、プレゼンテーションやグループワークの機会が非常に多く、コミュニケーション力を実践的に伸ばせる環境が整っていました。情報分野に精通したコミュニケーション力の高い人材は、今最も求められている手応えがあり、大学時代の経験をそのままアピールしたところ、内定をいただくことができました。

将来はソフトバンク株式会社の技術力をより多くの人に届けたいと思っています。

2025年9月にデザイン・データ科学部に接続する大学院、情報データ科学研究科を設置。2026年には、横浜キャンパスに新7号館が完成する予定。研究室や共創スペースが整備され、学部間連携や共同研究がより活発になる見込みだという。

2026年完成予定の横浜キャンパス新7号館(イメージ)

また、デザイン・データ科学部を中心に女子学生比率が年々上昇中である点も注目すべきポイントだろう。キャンパス全体では約3割を女子学生が占め、多様な価値観を共有しながら学べる環境も整っている。

文理の境界を超えて、理工系の土壌で培われた探究心と文系的な社会洞察力を兼ね備えた人材がここから生まれ、イノベーションの担い手として日本の次世代を創造していく。

東京都市大学オリジナルの新しい探究学習イベント
OPEN MISSION

東京都市大学が毎年6月と8月に実施する社会課題解決の手法を体験できる学修イベント。自ら選んだ課題研究に対して、現役の大学教授陣からフィードバックを受けることができる。

高校生(既卒生含む)なら誰でも参加可能で、大学での学びを知るきっかけとしてあえて学科名を出さずにテーマ選択をする。高校の「総合的な学習(探究)」のテーマ探しにも活用できるほか、イベントで作成したレポートを東京都市大学の総合型選抜に提出することも可能だ。目的は社会が求める「問題発見・解決能力」「論理的思考力」「コミュニケーション能力」を鍛えること。体験活動や他の参加者との交流を通じて、新たな自分を発見するチャンスも得られるだろう。

詳細はこちら→東京都市大学|OPEN MISSION 探究ゼミナール

⇒『進路の広場』で東京都市大学を見る

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