スポーツやデータサイエンスにもつながる「栄養学」の魅力に迫る
2026年4月、女子栄養大学・女子栄養大学短期大学部は、共学化し、日本栄養大学・日本栄養大学短期大学部として、新たな一歩を踏み出した。
社会的に「食」への関心がますます高まるなか、男子の入学希望者が増えたことがその背景にあるという。
スポーツ栄養、栄養データサイエンスなど、「栄養」に関する新たな学びを発信する同学の最新動向について、入試委員長でもある栄養学部上西一弘教授に伺った。
聞き手・構成 河村卓朗(SINRO!編集長)
率直に申し上げると、初年度の入試の手応えは「想定以上に順調だった」というのが実感です。もともと私たちは、男子学生の入学比率を全体の1割程度と見込んでいましたが、実際にほぼその通りの割合で入学者を迎えることができました。
さらに注目すべきは、受験者数がその2倍程度に達していた点です。つまり、男子受験生の関心は確実に存在しており、「女子大から共学へ」という変化が一定のインパクトを持って受け止められたと感じています。特に栄養学部食文化栄養学科の入学者の男子比率が比較的高かったですね。
日本栄養大学は、日本でも珍しい「栄養学」を柱とする大学です。現在は、1学部3学科2専攻という編成になっています。
まず、栄養学部実践栄養学科は、国家資格である管理栄養士を養成する学科です。2026年3月卒業生の管理栄養士の合格者数は185名。医療、福祉、スポーツなど5つのプロフェッショナル科目群があり、目指す将来像に合わせて、専門性を深めることができます。こちらの学科も2026年度の入学者のうち1割は男子学生となっています。
次に栄養学部保健栄養学科には2つの専攻があります。1つ目は栄養イノベーション専攻。栄養士の資格取得+αの学びに取り組める専攻です。フードウェルネスや栄養データサイエンスといった新たな「食」の学びを追究できます。この専攻では国家資格である「臨床検査技師」を目指すことも可能です。2つ目は保健養護専攻。こちらは養護教諭を目指すための専攻で、栄養学から看護学まで幅広く学び、多面的に子どもを支援できる力を養成します。
栄養学部食文化栄養学科は、食文化や食産業について、自由度高く学べる学科です。食育、食を通じた地域活動、レストラン運営、メニュー開発など幅広い学びに触れながら、新しい食の世界を創造する専門家を目指すことができます。
短期大学部食物栄養学科は2年で栄養士の資格を取得できるので、早く社会に出て働きたい人に向いています。専門的に学びたいテーマが見つかった場合は、短大から4年制大学への編入も可能です。


現時点で大きな制度変更の予定はなく、男子学生向けの特別な入試も想定していません。総合型選抜や一般入試といった基本的な枠組みも継続していく方針です。私たちとしては、「男女で分ける」のではなく、「栄養や食に関心のある人に開かれた大学である」という姿勢を大切にしています。まずは本学の学びの内容や魅力を正しく伝えていくことが重要だと考えています。
私たちが重視しているのは、「完成された将来像」を語ってもらうことではありません。むしろ、「食」や「栄養」に対してどのような興味関心を持ち、それを自分の言葉で語れるかという点を大切にしています。高校生の段階で将来を完全に決め切ることは難しいものです。将来の進路を過剰に固定している場合、かえって柔軟性を欠いてしまうこともあります。
それよりも、「今はスポーツ栄養に興味がある」「家族の健康をきっかけに栄養に関心を持った」といった、現在の自分の関心を素直に表現できること。そして、その背景にある体験や努力をしっかりと伝えられることを評価しています。
昨年度の入試広報を通じて、スポーツ栄養に強い関心を寄せている男子学生が多かったのが印象的でした。自分自身が競技を経験してきた生徒が、「今度は支える側に回りたい」「自分の体で学びを実践したい」と考えて本学を志望するケースは非常に多いです。
ただし、ここでお伝えしておきたいのは、スポーツ栄養の世界は決して限られた領域ではないということです。
多くの高校生がイメージするのは、トップアスリートに帯同して食事管理を行う姿かもしれません。しかし実際には、中高生の部活動における食事指導、企業での食品開発、さらにはデータサイエンスを活用した栄養分析など、多様な活躍の場が広がっています。スポーツ栄養は夢の職業であると同時に、現実的なキャリアの選択肢でもあることを知っていただきたいですね。
栄養学は、「家庭科」の授業の延長ではありません。医学や食品科学、美容、さらには社会課題とも深く関わる、非常に幅広い学問です。AIが進化する時代においても、最終的に一人ひとりに合わせた栄養指導ができるのは人間です。例えば、カルシウムが足りなければ、牛乳や乳製品を摂るように指導する。
「食べること」は、人間にとって最も基本的で、最も重要な営みです。その本質に興味を持った皆さんと本学でお会いできることを楽しみにしています。
日本栄養大学
栄養学部
入試委員長
上西 一弘 教授
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