受験生一人ひとりの強みを多角的に評価する仕組みが志願者大幅増を後押しした
2026年度入試で総志願者数5万人に達した桜美林大学。2015年以降、継続的な入試改革を進め、受験機会の拡大や多様な評価方法の導入に取り組んできた。
一方で、総合型選抜の併願化や受験ニーズの変化、私立大学の定員厳格化など、受験市場そのものも大きく変化している。
志願者増加の背景には何があるのか。また、2027年度入試をどのように見据えているのか。入学部の高原幸治部長に話を聞いた。
聞き手・構成 河村卓朗(SINRO!編集長)
桜美林大学では2015年以降、継続的に入試改革を進めてきました。その中で大きな転換点となったのが、2016年に一般選抜を3科目型へシフトしたことです。現在も、3科目型で受験すると2科目型としても無料判定を受けられる「2科目パック」として定着しており、この制度が改革の基盤になっています。
さらに2025年度入試からは、一般選抜において「同一試験日であれば、一律料金で複数学群に出願できる制度」を導入しました。背景にあったのは、「桜美林大学で学びたい」と考えて受験してくれる層が、一般選抜でも着実に増えてきたことです。1回分の検定料で最大30以上の合否判定を受けられるこの仕組みは、受験機会の拡大につながっています。
こうした制度改革の積み重ねが、総志願者数5万人という結果につながったと考えています。これは一時的なものではなく、継続的な改革の延長線上にある成果です。一方で2026年度入試においては、私立大学の定員厳格化の流れを受け、一般選抜全体の難易度が上がる中、併願先として桜美林大学を視野に入れる受験生が増えたことも、志願者数増加の大きな要因だったと考えています。
総合型選抜でも、志願者数は増加しています。ただ、その内訳を見ると、併願の割合も高まっています。総合型選抜は、専願を前提に年内で進路を決める受験方式という側面が強かったですが、基礎力評価方式の広がりもあり、まずは年内に桜美林大学への合格を確保しながら、その後さらに上位校を目指すという受験行動も一定程度見られるようになりました。
一方で、その変化に伴い、受験準備の完成度には差も見られるようになっています。志望理由書や面接を通して、「高校時代に何を頑張ってきたのか」「大学で何を学びたいのか」というイメージが十分に整理されないまま臨んでいる受験層もいる印象です。
そのため、志願者数自体は増加していますが、競争環境が大幅に厳しくなっているわけではありません。しっかりと準備を積み重ね、自分の考えを整理した上で受験してもらえれば、十分に対応できると思います。
「ディスカバ!」は、本学が展開する高校生向けキャリア支援プロジェクトで、昨年度は約4万人が参加しました。一定の基準を満たした参加者には「Spiral 認定証」を発行し、総合型選抜の探究入試(Spiral)「ディスカバ!育成型」では書類審査が免除されます。
ただ、本学が重視しているのは、その経験を通して何を考え、どのように探究を深め、自分自身がどう成長したかというプロセスです。認定証を取得していること自体が有利になるわけではありませんが、ディスカバ!の経験を自分の言葉で伝えられれば大きな強みになります。
一方で、認定証を持っていても、経験を十分に整理できていないと難しい面もあります。そのため実際には、認定証を持ちながらも、探究入試(Spiral)ではなく総合評価方式で出願する受験生もいます。
また、一般選抜では英語の「みなし点」制度も活用されています。英語資格・検定試験の級やスコアだけでなく、目標に向かって努力してきた過程も含めて評価しています。外部検定試験の受検料負担にも配慮し、この制度を活用して英語科目の筆記試験を受験しない場合、検定料が3万5000円から2万円に減額されます。

2027年度入試では、一般選抜と大学入学共通テスト利用選抜において、新たに「数学重視型」を導入します。これは、数学の判定偏差値換算点を2倍として扱い、他科目の判定偏差値と合算して合否を判定する方式です。数学に強みを持つ受験生が、その力をより活かせる仕組みとして設計しました。
また、大学入学共通テスト利用選抜において、3学群までは同一の検定料1万6000円で出願でき、4学群目以降は追加1万円で併願が可能になります。
さらに、出願書類の本格的なオンライン入力も開始し、受験生の利便性向上につなげていきます。

本学では、多様な知識や経験を持つ学生が集うことが、豊かな学びを生み出すと考えています。異なる価値観に触れながら学ぶことで、他者への理解や寛容さ、社会をよりよく生きていくための力が育まれます。本学の多様な入試制度は、そうした環境を実現するとともに、受験生一人ひとりが強みを発揮できる選抜方法を選ぶ機会にもつながっています。
近年、入試制度はますます多様化していますが、進路指導の根本的な考え方は変わらないと思っています。ただ、受験市場の変化が続く今は、生徒一人ひとりの強みを、どの選抜方式で活かせるかを早期に見極めることも重要です。
学力を軸に力を発揮する生徒もいれば、探究活動を通して自分らしさを表現できる生徒もいます。自分に合った受験戦略を立てていくことが、納得のいく進路選択につながると考えています。
桜美林大学
高原 幸治 入学部部長
桜美林大学大学院・大学アドミニストレーション研究科修士課程修了。2002年、学校法人桜美林学園に入職。国際交流、改組準備室、就職支援、学生支援などの部署を経て、2018年から入学部部長。
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