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【横浜商科大学】商学は人の世の幸いのためにある 横浜商科大学の「実効型実践教育」とは?

主体的に考え、現場で悩み、人と向き合いながら課題を解決していく力を育てる

  • 大学・短期大学進学 2026年 08月07日

2025年1月、横浜商科大学理事長に就任した吉原毅氏。40年近く金融の現場に身を置き、教育・福祉分野でも社会課題に向き合ってきた。

着任後あらためて問い直したのが、「商学とは何か」というテーマだ。目指すのは、利益追求の技術ではなく、人や社会の幸せにつながる商学。

「安んじて事を托さるる人となれ」という建学の精神のもと、「考える力」と実践を重視した人材育成について詳しく聞いた。

聞き手・構成 河村卓朗(SINRO!編集長)

「安んじて事を托さるる人となれ」人の世の幸いを生み出す商学へ

―金融の現場で培ってこられたご経験を、横浜商科大学でどのように活かしていきたいとお考えですか。

私は40年近くにわたり、城南信用金庫で地域の事業者や起業家の方々と向き合ってきました。

信用金庫は、大企業を相手にする銀行とは異なり、地域に根ざし、一人ひとりの挑戦や営みを支える存在です。商店街の店主も、創業間もない若者も、皆が大切なお客さまです。現場で人々の夢や悩みに寄り添ってきた経験は私の誇りであり、その姿勢は理事長や顧問という立場になっても変わることはありませんでした。

また、高齢者支援や教育支援などの社会貢献活動にも携わり、人のために働き、社会をより良くしていくことの大切さも実感してきました。そうした中で、前理事長の清水雅彦氏から声をかけていただき、横浜商科大学の理事長に就任しました。

着任して改めて考えたのは、「商学とは何か」という問いです。一般には、会計、マーケティング、経営といったビジネスの知識や技術を学ぶ学問と捉えられがちです。しかし、本学に来て、その本質はもっと大きなところにあると学びました。

本学の建学の精神は「安んじて事を托さるる人となれ」。これは、「あなたに任せたい」「あなたなら信頼できる」と思われる存在になってほしいという願いが込められています。社会の中で責任を担い、人々を導く人材を育てたいという創立者・松本武雄先生の思いです。

また校歌にも「人の世の幸のため」という言葉があります。学問とは自分だけの利益でなく、人や社会のためにあるべきだという考え方です。「個の繁栄」だけではなく、「公共の幸い」を生み出していく商学を、ここから発信していきたい。その志を大切にしながら大学運営に取り組んでいきたいと考えています。

―人の世の幸いのために、貴学ではどのような人材育成や学びを重視していますか?

これからの時代は、知識を吸収するだけでは十分ではありません。知識そのものはAIが扱える時代です。だからこそ人間に求められるのは、自ら考え、現場で悩み、人と向き合いながら課題を解決していく力です。まさに本学が重視している「考える力」です。

大学とは、教員から答えを教わる場所ではなく、学生自身が主体となって挑戦し、仲間や教員とともに学びをつくり上げる場だと考えています。それは、全学生約1300名という小規模大学である本学だからこそ実現できることです。

現代社会には、戦争や貧困、孤独など多くの課題があります。そうした問題をどう解決するか。お金は使い方次第で、人を不幸にも幸せにもします。社会をより良い方向へ導くために、経済や金融の仕組みをどう活かすかを考えることが重要です。

さらに、良い製品やサービスを生み出し、人を幸せにするためには、経営学や経済学にとどまらず、文学、哲学、法学、デザイン、自然科学など、あらゆる知見を結びつけて考える必要があります。私は、商学とは幅広い教養を結びつける総合的な学問だと考えています。

「実効型実践教育」で幅広い教養と考える力を身につける

―総合的な教養を身につけるための学びのアプローチについて教えてください。

本学の学びの柱の一つに「実効型実践教育」があります。これは、教室の中だけで知識を得るのではなく、実際の現場に出て、課題やニーズを自ら発見し、試行錯誤を重ねながら学びを深めていく教育です。

現場でしか得られない経験や気づきの中にこそ、本質的な学びがあると考えています。その実践例の一つが、昨年度「ボランティア活動演習」で取り組んだ「フードドライブ」です。家庭で余った未開封食品を集め、地域のフードバンクや子ども食堂、福祉施設などへ届ける活動を学生主体で実施しました。学生たちは地域と関わる中で、社会課題を自分ごととして捉え、人と人とのつながりの中で行動する大切さを学びました。

こうした取り組みも、地域との密接な関係性があるからこそ実現できるものです。

私自身、城南信用金庫時代、お金を貸すかどうかを判断する際、稟議書だけで決めることはありませんでした。実際に現場へ足を運び、「どんな設備なのか」「何に困っているのか」「従業員がどのような表情で働いているのか」を見る。現場にこそ、生きた情報と学びがあるからです。

困っている人の声に耳を傾け、何が本当に社会にとって良いことなのかを自分の頭で考える。その姿勢を、本学で育てていきたい。そして、その基盤となるのが、1年次必修科目の「考える力」です。「正解を教わる学び」から、「自ら問いを立てる学び」へ転換し、人間力を養います。授業後半ではチームで課題に取り組み、多くの人を巻き込みながら物事を前に進める力も身につけます。高度な専門知識に加え、社会に奉仕する精神、そして託された責任を果たす使命感を育んでいきます。

横浜商科大学の4年間の学び方
―最後に、高校生や高校教員の皆さまへメッセージをお願いします。

高校生の皆さんには、自分のためだけではなく、「誰かのために頑張ろう」という気持ちを持って、生き生きと挑戦してほしいと思います。人と人をつなぎ、モノやサービスを通じて「ありがとう」と言ってもらえる関係を生み出していく。それこそが商学の原点です。そうした価値観に魅力を感じる方に、ぜひ本学を目指していただければうれしく思います。

お話を伺った方

横浜商科大学
吉原 毅 理事長
1977年慶應義塾大学経済学部卒業後、城南信用金庫入職。1992年理事・企画部長に就任。2010年に理事長、2017年に顧問、2020年からは名誉顧問。学校法人麻布学園理事長、千葉商科大学理事・評議員などを経て、2025年1月1日付で横浜商科大学の理事長に就任。

⇒『進路の広場』で横浜商科大学を見る

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