新課程1年目の出題傾向を参考にしっかり過去問対策を!
昨年の大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は新課程1年目での実施となり教科によっては出題傾向にも変化がみえた。
本稿では弊社進路支援総合研究所の新沼所長が、2025年度共通テストを振り返りつつ、2026年度の主要教科ごとのポイントについて予測・解説する。
(進路企画 進路支援総合研究所所長 新沼正太)
科目追加となった情報Ⅰは、初年度ということで高い平均点(69.26点)となった。これは当方が予測した通りで、この科目の受験者の中には十分な対策をして臨めたという人もいただろう。
「数学」の変化に関しては、数学①で設問を選択する形式がなくなったことの得点への影響はほぼなかったようだ。問題の解きやすさが設問を選択できなくなったデメリットをカバーしたといえる。
一方、数学②の試験時間が延長されたり数学Cが入ったりした影響はあったとみている。難易度の変化は感じられなかったが、平均点が6点以上下がったことから、文系の受験生を中心に影響を受けたと考えられる。
「国語」は試験時間の延長や実用文の導入がどのように影響するか心配されたが、現代文の易化や古典の配点の減少、また実用文の配点が少ないことなどから、大幅な平均点上昇(+10.17)となった。実用文への対策が難しいと感じていた受験生もいたと思うが、おおまかな対処法は見えてきたのではないだろうか。
「社会」の変化で気になるのは世界史と日本史の平均点の差だ。前年度から世界史Bの方が日本史Bよりも高かった(4.01点差)が、歴史総合+探究となった2025年度はその差が9.13点に広がった。歴史総合の問題がやや世界史に偏っており世界史有利との声も聞かれ、ここまで点差が広がってくると科目選択に慎重にならざるを得ないと感じた。
ちなみに地理の平均点も日本史とあまり変わらないが、地理の選択者には理系の受験生が一定数含まれることを考慮すべきである。
「英語」はほぼ前年並みの平均点となり、「理科」ではすべての教科で平均点が下がった。大きな変化はないとみられていたが、より読解力や思考力を求める問題となり取り組みにくかったのだろう。
また、物理と化学の平均点に13.62点の差があったものの得点調整は行われなかった。これは得点調整の定義である〝平均点差15点〞に満たなかったためだが、歴史以上に大きな影響が出てしまっている。
単純比較はできないが、総合的にみると5教科7科目(2024年度)と6教科(2025年度)の合計得点率の比較で文系は59.6%→62.0%、理系は61.8%→63.3%と、ともに得点率の上昇がみられた。情報と国語の影響と考えられる。
さまざまな変化があったものの、総じて取り組みやすいと感じた受験生が一定数いたと推察される。
変化、変化と騒いだ割に試験終了後にはあまり大きな声で語られなかった要因として、この得点率の上昇があげられるだろう。
新課程2年目となり、方向性を固めることを意識した出題が予想される。文系・理系とも平均60%を超える得点率で、科目によって得点にばらつきがあるのは一部の教科であり、難易度は前年度と同等と推測している。
全体を通して、限られた時間のなかで思考力や読解力を問う問題が出されることは変わらない。したがって、日頃から起こっている事実だけを認識するのではなく、その背景や根拠となるデータなどを意識した学習を心がけたい。
一部では〝共通テスト特有の出題〞ともいわれるが、それぞれの「教科の基本」に則った出題ともいえる。教科そのものを理解する学習を意識し、文意を読み取ること、使いこなすことをコンセプトとして準備を進めてほしい。
ここからは、2026年度共通テストで気になる教科について述べてみたい。
初年度に70点に迫る平均点をたたき出した情報は、やはり難化を予想すべきだろう。内容を難しくすると数学的要素の増加につながるため、文章の抽象化やより多くの具体的なデータを提示することで、解くのに時間がかかる出題になると考えられる。難易度よりも解答にかかる時間を調節して平均点を少し下げようとする動きになるだろう。
日頃から時間配分を意識しながら問題を解くよう心がけることが対策につながりそうだ。
「情報Ⅰ」についてのより詳細な解説はコチラ▼
2025年度共通テストより導入された新科目「情報Ⅰ」を大学入試のスペシャリストが徹底解説!
実用文の難易度や時間配分に配慮し、現代文全体の難易度を下げる動きとなった前年度に対して、評論文・小説の難易度は維持しつつ、実用文がより複雑になるのではないだろうか。
前年度の実用文は〝外来語〞という言葉に関する問題で取り組みやすかったが、モデル問題では気候変動を扱ったものもあり、「言葉」に関する題材以外での出題もあり得る。引き続きしっかりと対策を行いたい。
総じて平均点が下がったが、暗記重視の出題になるとは想定しにくい。なじみのある事象を題材にすることもあるだろうが、思考力と文章読解力を求める近年の方向性は変わらないと思われる。現象の理解など、基本に沿った対策を行いたい。
上位の得点率に変化はないので、全体像を理解しているかどうかが得点につながると考えられる。
歴史総合+日本史探究を選択する受験生は、歴史総合の学習を怠らないことを意識してほしい。歴史総合の出題は日本史学習者に配慮したものになってはいるものの、日頃から〝世界の中の日本〞という位置づけで学習しておかないと苦労する可能性がある。
一方、世界史は素直に解答できる出題なので、確実に得点しておきたい。
基本的には2025年度の出題が対策の大きなヒントとなることは間違いない。日頃の学習にしっかりと取り組みつつ、過去問対策にも力を入れてほしい。
共通テストをうまく使えば私大一般選抜の合格を勝ち取りやすくなる。一般選抜志望者は共通テスト受験を前提として、本稿を参考に対策を講じてほしい。
弊社による前回の大学入学共通テスト解答速報はコチラ▼
https://www.shinrokikaku.co.jp/articles/20260119_01
