学部だけでなく「学環」の新設も目立つ
近年、文部科学省の強力な旗振りのもとデジタル・グリーン分野への転換・改組の動きが全国的に活発だ。2027年度は超有名校の改組も多く、受験生の注目を集めそうだ。
国立大学に目を向ければ、東京大学が約70年ぶりとなる新学部「UTokyo College of Design」を2027年9月に開設する。秋入学・全授業英語で国内外から社会課題に挑む学生を募り、日本人受験生には共通テストと書類選考、面接が課され英語力も試される。
こうした改革の潮流は国公私立を問わず広がっており、首都圏私大でも個性的な学部・学環の新設が相次いでいる。
2027年度も多くの首都圏私大が学部・学科等の改編・新設を予定しているなかで、ひときわ注目されるのが、青山学院大学の「統計データサイエンス学環」と東京都市大学の「創発デザイン工学環」だ。
学環とは、既存学部で扱う領域には収まりきらないより広い教育の枠組みを示す言葉で、複数学部との豊富な連携をもとに学びを構築し、さまざまな専門性を結集して課題解決にあたる—より時代のニーズに直接的に響く教育概念といってよい。
こうした背景を踏まえつつ、本誌が注目する新学部・学環をレポートしていきたい。
本誌注目の新学部(学環)・学科はここだ!
- 青山学院大学「統計」を名称に掲げた日本で初の学環
- 青山学院大学では統計データサイエンス学環(定員60名)を青山キャンパスに新設予定だ。
「統計」を学部・学環名に掲げる大学は日本の私大では初となる。
教育人間科学部、経済学部、法学部、経営学部、理工学部の既存5学部と連携した「学環」として、多様な領域の課題を解決できる専門性と実践力を兼ね備えたデータサイエンス人材を育成。
BIT VALLEY渋谷・青山を舞台にした企業との共同研究にも注目が集まる。
詳細はこちらの取材記事をご覧いただきたい。
- 東京都市大学工学×デザイン×社会課題
- 東京都市大学は創発デザイン工学環(定員80名)の新設を予定している。
工学的な技術力とデザイン思考を組み合わせ、社会課題の解決を担う人材を育てる学環で、複数学部の知見を横断するカリキュラムが特徴だ。
「ものをつくる」だけでなく「社会に問いを立てる」ことに関心を持つ工学系志望の学生に訴求しそうだ。
取材記事はこちらに掲載している。
- 東洋大学「環境×イノベーション」で時代を読む
- 東洋大学は川越キャンパスに環境イノベーション学部(環境イノベーション学科、定員140名)を設置予定だ。
脱炭素・サステナビリティへの社会的要請を正面から受け止めた学部編成であり、文部科学省の成長分野支援とも方向性が一致する。
社会科学系に強みを持つ東洋大学が理系色も加えた融合型の人材育成に舵を切る点でも注目したい。
こちらの取材記事もあわせて確認いただきたい。
- 昭和音楽大学音楽大学が「芸術工学」へ踏み出す
- 特色ある新設として見逃せないのが、昭和音楽大学が開設予定の芸術工学部(芸術工学科、定員100名)だ。
デジタルエンタテインメントコースとデジタルコンテンツ構想コースの2コース制で、音楽・アート・テクノロジーを融合させたクリエイター育成を目指す。
音楽大学が「工学部」を設置するという大胆な転換は、エンタメ・コンテンツ産業への就職を視野に入れた高校生にとって新たな進路の選択肢となりえる。
詳細はこちらの取材記事に掲載している。
- 中央大学2学部で進められる大きな改革
- 中央大学は2学部同時進行で大規模な改組に踏み切る。
新設予定のスポーツ情報学部(スポーツ情報学科、定員295名)では、データサイエンスコースとスポーツビジネスコースを設け、スポーツと情報技術を掛け合わせた専門人材の育成を目指す。
一方、経済学部では現在の4学科を経済学科・社会経済学科(合計定員1062名)の2学科に再編予定だ。
- 昭和医科大学医療系専門職の選択肢が広がる
- 昭和医科大学保健医療学部では、リハビリテーション学科に言語聴覚療法学専攻・視覚機能療法学専攻(各定員15名)が加わるとともに、医療技術学科(診療放射線技術学専攻〈定員30名〉・臨床工学専攻〈定員30名〉・歯科衛生学専攻〈定員15名〉)を設置する予定だ。
言語聴覚士・視能訓練士・診療放射線技師・臨床工学技士・歯科衛生士と、医療現場で需要の高い専門資格を幅広く揃えた。
医療系志望の受験生と進路指導担当の先生方には特に注目していただきたい。
LINK有の大学の取材記事はこちら▼
青山学院大学|東京都市大学|東洋大学|昭和音楽大学
新しい学びをキャッチして、志望校選びの視野を広げよう
大学受験における志望校選びは「情報戦」の様相を呈している。特に新設予定の学部・学環・学科については、知らなければ出願すること自体できない。
そして今回取り上げた学環のように、従来の学部で扱う領域にとらわれず複数分野を横断する新しい教育の枠組みは、時代の変化に即したチャレンジングなカリキュラムを組みやすいという特徴もある。
多様化が進む社会に飛び出していく受験生には、ぜひ最新の学びの動向をキャッチしながら自身に合った進路を検討していただきたい。